相続にも時効はあります
時効とは
ある状態が一定期間継続すると権利を得たり失ったりする制度です
民法では、二つの時効があり取得時効と消滅時効があります
取得時効とは、ある状態が一定期間継続する事で権利を得ることができ
消滅時効とは、ある状態が一定期間継続する事で権利を失ってしまう制度です
Aさんは10年前にBさんに1ヶ月後に返済する約束で10万円を貸しました
その後、全く連絡が取れなくなり音信不通になってしまいましたが、昨日、道で偶然
会って貸したお金を請求するとBさんは開口一番「借りた金は時効だから返す義務無」
と立ち去っていきました。わじわじーしますが、法律でこのような制度があるのでBさ
んの主張は正しいのです。
取得時効⇒借手 消滅時効⇒貸手
これは、金銭だけでなく、不動産にも起こり得ることなのです。敷地の境界確定は
そういう意味でも重要ですね。善意で10年、悪意で20年で時効を主張できます
ただ、その期間中に所有者が売買等で変わったり、時効を中断させる手続きが
行なわれると、リセットされたり中断されることがあります。
相続には大きく分けて4つの時効があります
1.相続放棄
相続が発生してから3ヶ月(もしくは知ってから)以内に
限定承認、放棄するかの選択をしないで熟慮期間を超すと単純承認したとみなされます
*やむを得ない事情などの場合はその限りでない
外国へ行って連絡がとれない場合など
2.遺留分侵害額請求
遺留分とは、相続人に最低限の相続分が認められている制度で
遺留分を侵害されていることを知ってから1年
*やむをえない事情により知り得ない場合はその限りでない(10年)
3.相続税の時効
相続税の納税時期は相続が発生してから10ヶ月以内ですが、逆の考え方をすると
配偶者控除や小規模宅地の特例など様々な特例制度がありますが、申告期限内に
納税できない場合はこのような特例を受けられなくなります。遺産分割で話が
まとまらず、多く税金を払わなければいけなくなったりしますので注意が必要です
ほとんど有り得ないと思いますが、相続税の支払いは7年で時効により消滅します
4.相続回復権の時効
相続人またはその法定代理人が相続権を侵害されたことを知ってから5年行使し
ないと時効により消滅する。相続開始の時から20年経過すると同様に消滅する。
*この権利は制限等があり、この文章だけを読んで単純に解釈するのは問題なので
分からない場合などは必ず専門家へお尋ねください
あとがき
なぜこのような事をブログに書くかと言えば、前に質問を受けたからです
30数年前に相続があり、相続人の内、1人だけで全てを貰い、
仏壇を継ぐ本家の子孫には全く財産が承継されていないが、
どうにかならないかとのお話でした。
遺産分割協議を行った記憶もなく、
他の相続人も実印や印鑑証明を渡した覚えがないとの事です
ご本人や関係者にとっては切実な問題で手助けをしてあげたいですが
このような高度な法律知識を
持ち合わせていない私には返答する言葉はただひとつ
「申し訳ございませんが、弁護士にご相談ください」としか言えませんでした
後日、
そのお方の事が気になり調べた次第ですが、4に当てはまるかなとの印象です
詳しい経緯や、遺言の有無など状況が分からないのでなんですが、
20年の時効取得を主張された時に
対抗し得る事があるのかと考えると夜も眠れなくなりそうです。
年月の経過により分割協議を行った事すら忘れている可能性も無きにしも非ず
登記簿の所有権移転の原因には「相続」と記載されているとの事
法務局の登記制度を考えると、遺言か分割協議しか考えられないのですが・・・
私も答えを知りたい。。
*善意、悪意により解釈が異なる場合もあります。
*相続には色んな法律が関係している事を一部ですが少しでも分かって頂きたく
記事にしました。法律の解釈によっては、当てはまったり、その逆のことも
多くありえますので、詳しくは弁護士等の専門家にご相談ください。
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