普通賃貸契約と定期借家契約の違いとは
普通賃貸は契約の更新を前提としていますが定期借家は期限が来ると契約は終了し建物を
明け渡さなければいけません。両契約のメリット・デミリットを纏めてみました。
普通(一般)賃貸借契約とは
普通賃貸借契約とは期間を1年以上とした契約で更新を前提としており貸主は正当な理
由がないと契約を解除することはできません。また、借主は借家法という強い権利いで保
護されています。なぜ、強い権利で保護されるようになったかと言えば、戦時中、借家に
住んでいる人が貸主から一方的に賃料の増額や立ち退かされる等、不安を持たずに戦争へ
行ってもらうようにするために法律を改正したのが現在まで続いており賃借人は強い権利
で守られているのです。
*契約期間を1年未満にすると期限の定めの無い契約とみなされます
定期借家契約とは
ここでは定期借家契約を「定借」といいます
定借とは期間が決められた契約で基本的に契約の更新はされません。但し、双方合意のう
え、再契約することは何ら問題ありません(事務手数料が発生します)
ほとんどの場合、再契約されており、当社で再契約をお断りしたことはありません。
多く使われるのは、戸建やマンションの所有者が転勤で他府県や国外に行って住まない間
賃貸することが多いです。また、最近ではアパートなどの物件でも定借をみかけますが
大家さんからすれば入居者に長く住んでもらうほうが経営が安定し喜ばしいのですが、
定借にする一番の狙いは、ルールを守らない入居者を排除するのが目的です。
先程も書きましたが、普通賃貸借契約では貸主から契約を解除するには正当な事由が必要
で、借主がルールを守らないからとか、身内が住むからという理由での解除は認められま
せんし、態度がお横着で見た目が怖い、人の出入りが多く騒がしい、子供が家の中で走り
回り煩い等の場合でもそう簡単には追い出すことはできません。
最近はありませんが、昔はこう言われることもありました
大家のオバーさんが私に
「うぬ、やーかやーや、えーじんさん、しくちんさん めーなち さきびかーくわてぃ
なー、んじゃしぇー」
大家さんの言い分を訳しますと
「この入居者は、挨拶しない、仕事もしない、毎日酒ばかり飲んでる、もう追い出して」
私 「うんじゅが いーしぇーわかいびーしが、なまぬ、法律では ないびらん」
訳 「あなたが言うのも分かりますが、いまの法律では無理ですよ」
解約が成立するには双方の合意が必要で、貸主が契約を解除すると言っても借主の承諾が
得られなければ追い出すことはできませんし、訴えるにしても裁判所の基準は案外厳しい
ものです。よほどのことが無いと訴えても借家法という法律で借主は保護されます。
受忍限度とか信頼関係の崩壊などは明確に線引きできず、過去の判例に基づき判断します
*契約期間を1年以内とすることも可能です(自宅の建替工事中の間等)
まとめ
貸す立場であれば、入居者の人間性を見極めたいというのが本音だと思いますし、
借りる立場であれば、長く住み続けたいと思うのも理解できます。
初めの2年間は定借で双方異議がなければ普通賃貸に切り替えるというパターンもありか
もしれませんが、逆に普通賃貸を解約し定借にする場合は注意が必要です。
貸主から強制的な場合や期間満了と誤解させるような言動で定借に導いた場合は後に無効
とされる可能性があります。
定借は普通貸借より契約書面が多く、賃貸人のメリットは賃借人のデミリットになるので
期間が満了するこにより契約が終了する旨の説明書面が必要で貸主借主の署名が必要です
なぜ定借なのか、「建物が古く近い将来建て替える」予定とか、「転勤の間」という理由
があるはずなので、その辺りを不動産屋さんに聞いて判断されてはいかがでしょう。
繰り返しになりますが、アパート等を定借にする理由の多くは入居者皆に良好な居住環境
を提供したいとの大家さんの想いからくるものであり、ルールやマナーを守れない入居者
以外の「善良な入居者を守る」意味合いが大きい為だということをご理解ください。
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